2020年大発会の日経平均は451円安と大幅下落となりました。
下落の要因として考えられるのは、米国とイランの対立と円高です。
これらの要因が日本市場や個別銘柄にどのような影響を与えるのか。
このポイントを考えることにより、強弱の分岐点を紐解くことができ、「ピンチがチャンス」に変えていくことができます。
まずは、「米国とイラン」の歴史を振り返ることにより、今回の環境の下げがどれくらい続くのかを考察してみたいと思います。
米国とイラン
米国によるクッズフォース総司令官殺害から、株価が大きく変動しました。
では、なぜ、クッズフォース(イスラム革命防衛隊)の総司令官は殺害されたのでしょうか。
それは1979年イラン革命での二の舞を防ぐための先制攻撃として考えられます。
イラク革命では、米国大使館が襲われ人質にされるという事件が発生しました。
※映画アルゴを見ていただけるとイメージしやすいです。
クッズフォースのシレイマニ司令官はイラクの首都にある在バグダッド米国大使館が襲う計画していたため、殺害されたとみられています。
結論から言うと、大統領選挙も控えた米国がこれ以上、戦線を拡大するとは考えにくく、イランによる報復はあるかもしれませんが、地政学リスクが大きくなるような問題ではないと考えています。
なぜかというと、背景と歴史を紐解くと、米国がイランに戦力を割く必要性が減っているからです。
少し歴史を振り返ると、イランと米国は「イラン革命」以前は、親米国家でした。
ただ、当時のパーレビ国王の独裁色が強くなり、イラン革命が勃発。
親米だったパーレビ国王倒したことにより、米国は新政府を敵視。
1979年の米国大使館の事件へと続いていきます。
石油がキーワードとなる歴史の話ですので、もう少し昔から簡単に振り返ると。
「海賊と呼ばれた男」などを読まれた方は、ご存じの方も多いかもしれませんが、イラクと欧米の関わりが密になっていくのは、1900年代前半。
当時、日露戦争終結後、第1次世界大戦前で、戦艦の燃料を石炭から石油に変更するかどうかの時代背景でした。
イランで石油が取れることに、目を付けたのは英国のAPOC(現BP社)。
イラン政府に利益の約15%を渡すという破格の値段で、採掘権を取得しています。
その後、米国のオイルメジャーがベネゼエラやサウジアラビアで50%:50%の対等な条件で契約したこと受けて、反発したイラン国民はもモザテク氏を首相に選びます。
彼は、イラン政府は英国に交渉しますが、却下されてしまいます。
そして、APOCの採掘権を凍結。石油会社を国営化してしまいます。
英国は報復として、イランからの石油輸入を止めるように各国に通達。
ちょうど、「海賊と呼ばれた男」に出てくるシーンですね。
その後、米ソの冷戦が激しくなる中、英国は米国へモザテクの共産主義化を吹聴。
米国がモザテク政権を転覆させ、パーレビ国王が就任。
親米政権へ。
そこから、イラン革命の話に戻っていきます。
ただ、ここで重要なのは、エネルギーが「石炭から石油に変わったこと」と「石油の中東依存率が高かったこと」です。
現在の米国
現在は、米国は、シェール革命により原油生産は世界首位。
シェールオイルの埋蔵量も世界首位と発表されています。
引用リンク先:2019年1月14日 日本経済新聞
つまり、中東依存率が低くなっています。
この背景を考えると、今回の米国がイランに戦力を割く必要がありません。
むしろ、事態を最小限に抑えるために行った対応とも考えることができますね。
このように考えていくと、米国の一連の対応は最小限に抑えるための対応であり、多少の報復はあったとしても、戦争まで発展させることは考えていないとみることができます。
おのずとパニックは収まってきそうですね。
「環境による下落」と「業績悪化の下落」を分けて考えていくこと。
そして、「環境の下落」の要因を考えていくと「ピンチがチャンス」に変わっていきますよ!
2020年のテーマ
2020年は「歴史的な背景を知ることにより、大局を見据える」という、ひとつのテーマとして考えています。
なぜ、これが必要かというと、今回の米国とイランのやり取りに対して、どの程度まで広がっていくのか。
これを予測することは、かなり難しいですが、鍵となっているポイント(今回は石油)を押さえておくと、その広がりが限定的なのか、未知数なのかを考えることはできそうです。
いくつかのテーマを考えながら日々精進して、ZENFSとしても有益なサービス展開ができるように取り組んで参ります。
今年もご愛顧のほど、どうぞよろしくお願いいたします。