米労働省が先週の新規失業保険申請件数を発表した。
市場予想の250万件を上回る298万1,000件となり、前週の317万6,000件よりは減ったものの、高い数字となっています。
COVID19による経済への影響は深刻です。
COVID19以前の米国経済を支えてきたのは、米国内消費ですが、今回の失業保険申請件数や前回の4月の雇用統計の失業率14.7%の数字を見る限り、回復には数年かかりそうです。
なぜ数年かかるの?
リーマンショックと比較されることが多いです。
当時は、2007年に株価のピークをつけていますが、当時は景気が良かったため、米国の金利は5%を超えていました。
金利を上げることにより、膨らんでいた「クレジット(個人ローン、会社の借り入れ、金融派生商品など)」の膨らむ速度を鈍くさせる施策を取っていたのです。
しかし、サブプライム問題発覚により、膨らみすぎていた「信用」が一気に破裂しました。
低所得者の破綻から徐々に焦げ付き(債務不履行)が連鎖し、様々な金融商品に飛び火してきます。
これにより、投資銀行のリーマンブラザーズが倒産することになり、この一連の暴落をリーマンショックと呼ぶようになります。
では、今回の一連を考えていくと、失業保険申請者数が物凄い勢いで増加しています。
米国で失業率が高まったのは4月からで、失業保険申請者数の数が増えていることを考えると、5月は失業者数がさらに増えるとみることできます。
これまで米経済を支えていたのは、国内消費だったことを考えると、まず、その需要が減ります。
次に、景気が良い時に買っていた「クレジット」は引き続き返済する必要があるのですが、なにせ、失業率が高まっていることを考えると、当然「焦げ付き」が出てくるのはこれからです。
つまり、事態が悪化するのがこれからであり、金融政策を現在も売っていますが、失業者が新たな職に就くのも時間がかかります。
これは、数日で変わることではありません。
COVID19のワクチンができて、その後徐々に回復してくるとみるのが打倒です。
厳しい話ですが、2~3年続きそうです。
今は「待ち」
一方で、現金を持っている企業や需要が伸びる業種も出ています。
これらは、不景気になった時に5Gなど新技術に向けて投資を加速していきます。
不景気になる一方で、新たな雇用を創出するような産業や投資が加速する時期にもなってきます。
今は、景気の不透明感が出ており、中途半端な位置にいますが、悪くなった状況がはっきりしてくると、方向性が顕著にでてきます。
すこし視野を広げて、物事を見ることが、これからは重要になってきそうですね!